ルル誕 シュナイゼル編
「ルルーシュ、誕生日おめでとう」
「ルルーシュ陛下、誕生日おめでとうございます」
にこやかな笑顔で入ってくるシュナイゼルとカノンは、その手に分厚いファイルを持っている。確か今日は、朝から99代皇帝の生誕祭で行事が目白押しではあっても普段の公務はないハズだが? と、低血圧寝起きの普段の頭の回転の良さはどっかに落としてきた状態で二人を見つめてると。
「これは、仕事ではないよ。プレゼントの目録。」
「・・・・・はぁっ? な、なんでそんなにあるんですかっ!!」
「陛下・・・差し支えなければ、こちらは極一部でございます。今、お持ちしている分は関係者にプレゼント候補を入札していただいた物だけでございます。一般からのルートでのプレゼントは倉庫にて保管及び点検をさせていただいています。なお、ナマ物や食料品等は安全のため、ご遠慮していただきました。」
プレゼント候補の入札? なんでプレゼント候補が入札なんだ? と、ひたすら疑問符を浮かべるルルーシュに、シュナイゼルが苦笑しながらも説明する。
「君に贈られるプレゼントを贈る人まかせにしておくと色々と大変だろう? 銅像ばかりダース単位であっても、置き場所に困るだろうし、君とて嬉しくはあるまい?」
「まぁ、そうですけど・・・」
「そうは言っても、君自身としては無欲と言ってもいい位、欲が少ないし。車やクルーザー、宝石とか貰っても嬉しくないだろう?」
「確かに・・・」
大量のファイルを持っているのに飽きたのか、ベッドサイドにファイルを置き、その内の一冊をルルーシュに手渡す。
ぱらぱらと捲っていると、公務で見たことのある案件が山ほど出てくる。どれも優先順位の低さに後回しになりがちかつ、市民生活に密接に関わる公共事業の案件であった。
よく見ると、案件と共に名立たる著名人の名も記されている。
「がめついと言われる公爵もよくこの事業に金を出したな・・・・」
「新帝の覚えがめでたくなるなら安いものじゃないかな? 完成した暁には、99代ルルーシュ皇帝陛下誕生日記念祝事業の名と共に、彼らの名も載せてあげるしね。誕生日プレゼントに名を借りた慈善事業だよ。あ、そうだ。あとでカードを贈るから陛下の直筆でサインをお願いするよ。」
「はぁ・・・」
変な物を貰うよりは嬉しい。予算を割こうにも、後回しになりがちだった案件が消化できていくのも嬉しい。でもなんか、誕生日プレゼントってもっとなんか違うものなんじゃないかと思うルルーシュであった。
「そうそう、これは私からのプレゼントだよ」
「ありがとうございます。兄上」
と、渡されるのも一冊のファイル。過去、シュナイゼルから贈られた物を考えても有益なものには違いないが。と、ファイルを捲ると。
緑色の髪の魔女が愛用しているピザ会社の書類。
「兄上・・・・これは・・・?」
「君が魔女殿にいつもピザをたかられて困ってそうだったのでね、その会社の大株主になれるくらい株を買ってみたんだよ。魔女殿のピザ代くらいは、株主優待で賄えるのではないかな? あと、ほらなんだっけ?」
「チーズ君です」
「そうそう、チーズ君のノベルティも言えばすぐ貰えると思うよ。でも、有難味が薄れるからこの事は魔女殿には内緒にしておきなさいね」
「兄上・・・・C.C.は喜ぶでしょうが、これは私へのプレゼントとしてはどうなんですか?」
「そうはいっても、ルルーシュ・・・君が個人的に望む事ってなんだい? 君の望みはいつだって君の周囲の幸せだろう? 君自身が君自身のために望む事が出来たら、私はそれをいつだって叶えてあげるよ。それは・・・・宿題にでもしておこうかな」
「兄上は、私の事を私よりも理解しているみたいですね。宿題・・・ちゃんと考えて見ます。」
「さ、今日は忙しいよ。何しろ、みんなが君をお祝いしたくてたまらないんだから」
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