裸マント ぽにゃさんのお題
冷え性である皇帝様が、入浴剤やシャンプー、石鹸に拘ったりしてお風呂タイムを楽しく過ごして出ると、用意したパジャマがなかった。
それどころか、愛用の「ふかふか無撚糸バスタオル」の変わりに大量のハンドタオルと、ここに置いてあることは非常に謎だが、置いた人間が理解不能なら仕方あるまい、という感じのナイト・オブ・ラウンズの青いマント。つまりは、現ナイト・オブ・ゼロの枢木スザクがナイト・オブ・セブン時代の物だ。
「スザク・・・・この間のエプロンといい、なんの嫌がらせだっ!!」
濡れて裸のままでいては風邪をひくので、ハンドタオルを何枚も使って体を拭き、マントを手にしては、ため息をつく。
「前回のエプロンよりはいいのか? 一応、体は隠れるし・・・・。だけど、なんで俺のパジャマを隠してこんなものを置いておくんだ? 流石はイレギュラーだ。俺には理解できんっ!!」
仕方なく、素肌にマントを羽織る。
スザクの香りに包まれているような気がして癒されるのは気のせいということにしよう。俺はパジャマを隠されて怒っているんだからな。
それに、マントだったらナイト・オブ・ゼロのでも良いじゃないか。あれは俺がスザクにデザインしてやったものなのに。セブンの時のスザクには良い思い出がないんだぞ。全く・・・
寝室に隣接している浴室なので、裸のまま出て行ってもかまわないのだが・・・・皇帝様の寝室は、その騎士にとっては勝手知ったる我が家どころか、皇帝の寝室=自分の寝室と思ってる騎士が絶対にいるので、羞恥心は人の何十倍も持ってるルルーシュとしては、何もないよりはマントの方がマシなのであった。
マントで体をしっかり覆い、蓑虫のように寝室に帰ると、案の定スザクがベットに寝そべりながら、浴室へ続く扉を見つめてにやにやしていた。
「スザクっ!! 毎回毎回何の嫌がらせだっ!!」
湯上りだけでなく、羞恥心もあって顔を真っ赤に染めて、怒っているルルーシュに、
「嫌だなぁ、ルルーシュ。嫌がらせなんかじゃないよ」
「毎回毎回、嫌がらせじゃないのなら何なんだっ!! 俺のパジャマを寄越せっ!! あの「ふかふか無撚糸バスタオル」はナナリーとお揃いで気に入ってるんだぞっ!!」
「君は男の萌心ってのをわかってないのかい? 裸エプロンっ!! 裸マントっ!! 男の萌の究極だよっ!!」
力説するスザクに、俺の騎士は変態だったのか。と、物悲しい気分になる皇帝様。
そして、裸マントと言えば・・・・と、ちょっと脳裏を掠める記憶があったものの。
「いや・・・俺は別に裸マントとか萌ないし・・・。どうでもいいが、俺のパジャマを返せ」
普段、空気を全く読まないくせに、こんなときだけ神がかり的な何かを発揮する騎士。いや、普段の体力バカとかランスロットに乗ってるときも神がかり的ではあるが。
「・・・・ルルーシュ・・・・、君、誰の裸マントを見たの?」
さきほどまでのにこやかさが嘘のように、纏う空気が黒くなっていく。別名「黒るぎ」状態に突入。
「誰って・・・何のことだ?」
普段は、言葉巧みに人を誘導することに長けているルルーシュであったが、こうなった「黒るぎ」を誤魔化す言葉はなかった。
「ふーーーん・・・・白を切るんだ・・・・。いいよ、体に聞くから」
「おい、それは変だろう。俺が怒ってるのに、何でお前が怒るんだ? って、」
「何でって・・・ねぇ?」
「いいながら、押し倒すのはヤメロっ!!」
「いいんだよ。体に聞くって言ったでしょ?」
黒い笑みを貼り付ける己の騎士に、
「俺は明日も仕事があるんだっ!!」
「奇遇だね、僕も君の警護という仕事があるよ。大丈夫、一応・・・・多分?」
「なんで、そこだけ疑問系なんだっ!!」
夜の四十万に響く悲鳴が、甘い物へと変わるのも間近。
終わり
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